お家いきいきケア、ペットドクターの今村香です。動物たちがよりよく生活でき、飼い主さんとも幸せな関係になれるように、ホメオパシーや東洋医学、整体、波動療法などを使って体調を整えるお手伝いをしています。
今回は、猫ちゃんの便秘と腎不全の関わりです。腸と腎臓って繋がっていないのに?と不思議ですね。
そもそも、便秘といえども、ちょっと固めの隠れ便秘タイプから、もう何日もでないのよ~というタイプまで様々です。特にひどい便秘症の猫さんでは、動物病院へ通院しているというお話を聞きます。毎日点滴をして、1週間に1回摘便をして、それでもだめなら外科手術をと。自然に排せつできるようになりたいですね。
便秘とはどのような状態の時のことを示すのか?
それは、本来体の外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排出出来ない状態のことです。
猫さんに当てはめると、こんな状態はありませんか?
〇 2日以上、ウンチがでていない
〇 少しだけ細長い便がでている
〇 コロコロウンチで、しかも1回の量が少ない
〇 トイレにいって力むけど出てこない
〇 力んでいる最中にギャーっと叫ぶ
〇 トイレに行く前に部屋中を走り回ってからやっと便が出る
〇 お腹をなでると嫌がる、もしくは下腹部が固い
お腹が張ってつらいのよとか、ウンチをするときに痛いからウンチしたくないのよとか会話してくれると助かるのですが、行動だけだとわからなかったりします。
排便時の様子を気にすることで、ちょっとおかしいぞということを見つけやすくなります。
どうして、便秘になるのでしょうか?
色々原因がありますが、主なポイントとしては
物理的に、便の移動を妨げるものが腸内外に存在する
精神的な問題
腸のぜん動運動や自律神経の異常
腸内細菌のアンバランス
物理的に、便の移動を妨げるものが腸内外に存在する場合
腸内に物理的な存在があって便の移動の邪魔をするものには異物や腫瘍。会陰ヘルニアなどの構造上の異常。また骨盤骨折による骨盤腔の狭窄による管腔の狭さや肛門の狭さが原因となります。
異物や腫瘍が原因の時は、その原因を排除する必要が出てきます。その場合は外科手術が必要です。
きれい好きでグルーミングが大好きな猫さんの場合、飲み込んだ毛によって毛玉が作られてしまい、便の排せつを妨げてしまうことがあります。その場合は便の通りをよくするようなオイル成分を多くしたり、水分を多く飲めるようにしましょう。毛玉もひどい場合は外科的に取り除く必要が出る場合もあります。過剰なグルーミング行為の背景に心理的要因がある場合はフラワーエッセンスやレメディも使ってあげましょう。
保護猫さんや迷子猫さんの経歴を持つ場合、また外出を多くする猫さんの場合は、交通事故や落下などで骨盤骨折後に骨盤腔が狭くなり、便の出にくさにつながる場合がありますので、レントゲンや触診で骨盤腔の広さを確認してもらいましょう。
シニアの子では、会陰ヘルニアの可能性が出てきます。肛門付近のお尻から太ももが膨らんできていたら病院で診てもらいましょう。すぐに手術をした方がいい場合と、様子を見れる場合もあります。
物理的な原因の場合は、手術が必要になることも多いのですが、お家ではオイル成分を多くしたり、水分を多くするなど食べるものに工夫をして、便を柔らかく通りやすいようにしてあげましょう。
精神的な問題の場合
トイレの場所が少ない、汚れている。
新しい猫さんがやってきた。
引っ越しや移動などの環境の変化。
このような場合は、一時的に排便を我慢することがあります。度重なると便秘症になりますので、トイレの整備や落ち着いてトイレが出来る環境をまずは整えてあげましょう。
お家で飼っている猫の数とトイレの数が足りない場合は、トイレを増やさなくてはいけません。他の子や自分の排尿や排便を放置したままにすると、我慢につながります。猫さんにとってトイレに行きたくてもいけないことで我慢して、ぜん動運動を止めてしまうことになり、便が固くなってしまいますので、こまめにお掃除をしましょう。
引っ越しや移動の際にはどうしても排せつを我慢してしまいます。慣れない場所に移動して丸一日、排便排尿をしない猫さんは多いです。
事前にフラワーエッセンスやレメディで気持ちのサポートをしてあげると環境になじむのも早くなります。
フラワーエッセンスでは
レスキューレメディ おびえ、パニック、恐怖
アスペン 不吉なことが起こるのではないか
ウォルナット 変化に対応できない
腸のぜん動運動や自律神経の異常の場合
腸の機能は、胃から流れてきた食べ物を膵液や胆汁といった消化液とともに分解して吸収する小腸での機能と、水分の吸収をおこなう大腸の機能があります。また、自律神経も介在しているために、精神的要因でも影響を受けてしまいます。
ここで、便の硬さに関係するのは大腸の水分吸収機能です。
猫ちゃんはもともと水分を多くとる動物ではありません。砂漠にすんでいたという由来から少ない水分でも生きていけるような体になっています。平均で1日100~200ml(5kgの猫)の飲水量だと言われています。
飲む量が少ないと必然的に便の水分量も少なくなり硬い便になりがちです。
さらに、ぜん動運動の機能が落ちていて、腸にとどまる時間が長ければ長いほど、大腸で水分吸収が進んでしまいます。そのために、ますます小さくて硬い便になってしまいます。
そして、猫さんに水分を飲ませるのは結構大変です。そもそも喉の渇きが少ない動物なので、水を飲んでほしくても飲んでくれません。
では、どうするかというと、ご飯のときに水分を多めに入れる、ミルクを薄める、スープストックを作っておいてそれを与える等々。また、いっぱい遊んであげると喉も乾くので普通の水でも飲んでくれます。
自律神経がぜん動運動にも関係します。一般的には、交感神経優位の時は腸のぜん動運動は抑制され、副交感神経優位の時は活発になります。過度のストレス、緊張状態にある子はぜん動運動の働きが抑制されている可能性があります。
同居猫ちゃんたちの関係はいかがでしょうか?仲良くしてますか?
ちょっと緊張状態になるような猫さんの場合、周りの子がまとわりついてトイレが出来ない、攻撃を仕掛けられそうでトイレが出来ないという心配をなくしてあげるために、タワーや囲いを作ってあげると避難場所ができて、安心してトイレに行けるようになります。
逆に、あまりにものんびりしすぎて運動しない子も運動不足になり、腸機能が働きづらくなって便秘になることもあります。子供の頃は駆けずり回っていたのに、大人になると寝てばかりであまり動かない子もいるかと思います。遊びにも興味が乗らない、動きたくない場合は、いろんな興味を引き出して遊んであげましょう。
交通事故や落下などの外傷による神経の損傷やせき髄損傷により、脊髄神経麻痺がある猫さんでは、排便機能のコントロールが出来なくなってしまいます。肛門から便を外に排せつできないので飼い主さんの手助けが必要になります。
腸内細菌のアンバランスの場合
腸内細菌による働きが腸の機能にも、腎不全にも大きく影響を与えます。腸内細菌数も大切ですが、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが重要になります。
腸内細菌を健やかに増やすには、3つのポイントがあります。
えさとなる水溶性食物繊維を取ること
よい腸内細菌を取り入れること
せっかく育った細菌を損なわないようにすること
水溶性食物繊維は、ぬるぬるした食材に多く含まれています。例えば、海藻、ヤマイモ、納豆、オクラ、モロヘイヤなどです。他に麦にも多く含まれています。麦の中でもオーツ麦より、大麦より、もち麦に多く含まれます。ドライフードにトッピングしたり、サプリメントを活用したりして、腸内環境の改善を助けましょう。
効率的な良い腸内細菌を取り入れることを、プロバイオティクスといいます。猫さんのサプリもいろいろ発売されています。目的に合った効果があるものを選んで取り入れることも重要です。
最後に、忘れがちなのが、育った腸内細菌を損なわないことです。
腸内細菌のバランスは簡単に変動してしまいます。口内環境、精神的ストレスや加齢、食べるもの、医薬品などにより、善玉菌や悪玉菌のバランスが崩れてしまうと、便秘や腎不全やそのほかの病気の発生につながってしまいます。
腸内細菌で生み出される尿毒症物質
実は、腸内細菌のバランスが崩れることにで、身体の中で尿毒症物質が産生されてしまいます。
この尿毒症物質の中でもインドキシル硫酸,p―クレシル硫酸,トリメチルアミンなどは慢性腎不全の増悪に関係してきます。
食べ物の中のたんぱく質の分解によってトリプトファンやチロシン、カルニチンといったアミノ酸は小腸で吸収されずに、小腸を通り越して大腸に届きます。そこで腸内細菌の代謝によって変化して、肝臓で代謝されることでインドキシル硫酸やトリメチルアミンの尿毒症物質が産生されてしまいます。
無菌動物の実験から、腸内細菌を有しないと腎不全の状態になっていてもインドキシル硫酸やP-クレシル硫酸が発生しないことが確認されました。よって、これらの尿毒症物質は、腸内細菌の代謝によって依存しており、生み出されてしまうものになります。
ちょっとややこしいのですが、
そもそも、尿毒症物質はこれといって特定されているものではなく、腎不全の進行に伴い血液中に増加し続け、様々な尿毒症関連の症状を引き起こす物と定義されています。先に述べたインドキシル硫酸などのものや他にアミロイド関連物質も含まれます。
腎不全は他の原因、例えば糖尿病、遺伝、食事内容、高血圧、過度の運動疲労、感染症、自己免疫疾患などによって腎臓の障害が進んだ結果、正常の腎臓機能が30%以下に低下した状態のことです。
尿毒症物質があるから腎臓が障害されるのではなく、もともとあった腎臓の障害によって排せつできなくなったものが蓄積されて、より一層腎臓の障害を進めてしまうものになります。
ですので、便秘により排せつ物が長く蓄積されてしまったり、腸内環境のアンバランスが引き起こされていたりすると、この尿毒症物質の発生も多くなり、腸内から吸収された結果、腎臓の障害へと影響を与えてしまうようになります。
まとめ
腸内細菌の乱れによって生み出された尿毒症物質が血流にのり、身体をめぐって腎臓にたどり着くために腎臓の障害を進めます。その結果、腎不全の発生率が高まります。
将来的な不安を取り除くためにも、便の状態の把握、便秘の解消に心がけましょう。
もちろん、この仕組みは人でも同じですので、ほっとくなあきらめるな便秘症ですね。
お申込み先 ホメオパシーセンターアルモニア