アレルギー

身体を整える〜春編〜

ホメオパスの麻生摂子です。

私がホメオパシーに出会ったのは20年ほど前ですが、それをきっかけに様々なその他の療法にも出会いました。

中でもとても興味を惹かれ、今でもホメオパシーとともに学び続けているのが中医学と薬膳です。

ホメオパシーにはホメオパシーの魅力がありますが、中医学も身体の見方が素晴らしく、ホメオパシー同様、現在も古典に従っている医学の一つです。二千年以上も前から、こんなにも具体的に身体を、過ごし方を伝えられているなんて驚きでしかありません。いやむしろ、病気の多い現代は今一度ここに立ち返る必要があるのではないかとすら思います。

私たちが出す症状は、心の動き、食べたもの、過ごし方などの歪みを体現しているだけと言っても過言ではないですよね。だからこそ、何をいつどんなふうに食べどんなふうに過ごすかが、病気になりにくい身体をつくると思うのです。

ここでは、古典を紹介しながら、中医学と薬膳をもとに病気になりにくい体づくり、養生法などをお伝えしていきたいと思います。

今回はまず「春の過ごし方と食べもの」です。

黄帝内経から春の過ごし方について

春は「発生」の季節という。

すべての物が芽生え、天地間の万物は生き生きと栄える。

春の養生法

夜更かしすることなく早く床に入り、朝は早く起きる。

朝、庭をゆったりと散歩し、髪の結びをほぐして、体をのびのびと動かす。

つまり、春に芽生えた万物と同じように

心身ともに生き生きと陽気を発生させる。

天地間の陽気を胸いっぱいに取り込み、体内の陽気を大事に育てる。

これは春の「発生」に相応する養生法である。

これに背くと、春によく活動する肝気が傷む。

すると、夏になって寒性の病にかかりやすいのである。

 

<黄帝内経・素問 四気調神大論>

黄帝内経(こうていだいけい)とは、中国最古の医学書と言われるものです。「素問(そもん)」と「霊枢(れいすう)」からなっていて、その中では中国の王、黄帝と臣下が問答するような形で、養生法、生理、病因、診断法、治療法などが書かれています。

その中での一節、四気調神大論は四季の過ごし方について。

ここでいう「春」は、立春〜立夏(2/4~5/5頃)までをさします。春と言っても、立春の頃はまだまだ、いやむしろ寒さを感じる頃かもしれません。ですが、宇宙のエネルギー的には、間違いなく「陰」から「陽」へ向かっているということですね。

春は早起きをして散歩をしなさいと書いてあります。草木の芽吹きのように、生き生きのびのびと過ごすことが、陽気を養い夏の病を防ぐとありますね。

これと同様に、素問には冬の過ごし方についても書いてあるのですが、春の病を防ぐのは冬の過ごし方次第とあります。いつも一つ前の季節が鍵になっているのですね!

まあ言ってしまえば、いつも養生しなさいということではありますが、例えば春になって花粉症になり、慌てて対処しても難しいですよということですよね。アイタタタ・・・。

冬は立冬〜立春(11/7~2/4頃)まで。春夏とは異なり「陰」を養う季節。春に向けてじっくりと蓄える季節です。やたらと動いてはいけないのです。じっくりと、蓄える。ここはポイントです。

 

さらに中医学では、その基礎となる思想に「陰陽五行」というものがあります。陰陽、五行どちらも大変興味深いものですが、今回は陰陽について少し書き留めておきます。

陰陽学

陰陽とは何か?

中国思想に端を発した思想で、互いに対立する属性を持った二つの気、とあります。森羅万象全てのものを「陰」と「陽」に分けて考えます。

天と地、上と下、表と裏、昼と夜、明と暗、熱と寒、火と水、男と女、動と静、軽いと重い、凝縮と弛緩・・・。

陰陽は、その漢字のイメージから、陽の方が良くて大切な感じがするかもしれませんが、どちらが良い悪いではなく、裏があるから表があり、静があるからこそ動という概念が生まれるように、相手があるから存在できるという関係にあります。そしてお互いに制約、助け合いながらバランスを取っている上、陰は極まれば陽になるし、陽は極まれば陰になるという・・球体でぐるぐると回っているイメージでしょうか?また、陰は陰らしく十分に、陽は陽らしく十分に存在することが、全体の調和を整えると言われています。

身体にも陰陽はある?

もちろんあります。

身体の外側は陽、内側は陰。背中側は陽、お腹側は陰です。身体の上部は陽、下部は陰。「気」が陽で「血」が陰です。何となくイメージできますね。

ここから、陰陽の性質と春に起こりやすい病気、花粉症との関係を中医学的に見ていきますね。

花粉症と身体の陰陽

春になると目が痒くなったり鼻水が出たり顔に痒みが出たりと、花粉症を発症する人が少なくありません。主に身体の上部に症状が出やすいですよね。即ち陰陽のバランスが陽>陰となっていることが分かります。これはどういう事かというと、もともと春は地球のエネルギー自体が陽気の方が強くなっていますので、小宇宙である身体も陽が優勢になりやすい季節です。色々と上に上にと上がりやすいのです。ですがこの時に、冬の間にしっかりと冬らしい養生をしていれば、身体にはそれを打ち消す(バランスを取る)だけのたっぷりの陰が存在するわけです。身体の上部に燃え盛る炎症があっても、身体にそれを消してくれるだけの陰があれば、そもそも花粉症を発症しないかもしれないのです。

では、ここで言う陰は何をさすか?

身体の陰である血と水をさしますが、血を蔵する「肝」が充分な血(陰)で満たされていないことが多いです。そうすると、より陽>陰となり、まるで地球で気圧の差が大きい時に風が吹き上がるように、身体の中でも風が起こり身体の上部の症状と痒みが起こります。

冬の養生がいかに大切か分かりますね。

昔々は、現代とは生活様式が全く違うでしょうから、冬の間は自然と家に籠り、日が沈むのも早ければ自然と床に就く時間も早かったのでしょう。ですが現代は電気を煌々と点けいつまでも起きて携帯やPCを見ています。血は陰の時間である夜に肝に戻り蓄えられます。その時間に起きていて、更に目を酷使していては、血(陰)は消耗するばかりです。

またここに、食べ過ぎやストレスが加わると、それは体内で熱を生みます。

熱=陽

さらに、陽>陰となり・・・。

早く寝ることと食べ過ぎないことで、どれだけの病気がなくなるか・・(笑)

春の食養生

ではここで、春の食養生についても少し触れておきますね。

春は解毒の季節、とはよく言われることです。良くも悪くも冬の間はじっと。身体の中に溜まった毒が、春になって暖かくなれば一気に噴き出します。だからこそ春の本当に初め、まだ寒いなぁという立春の頃に、少しずつ解毒食材を摂ると良しとされています。

春の前半は解毒

解毒を促してくれる春の食材と言えば、蕨やふきのとう、タラの芽などの山菜が有名ですが、その他にもニラや三つ葉、セロリ、菜の花、緑茶なども解毒の効能を持っています。

この頃はまだまだ寒さも残っていますので、身体を冷やす食材は控えめにして(ワラビは身体を冷やします)温めて巡り良く、を意識すると良いです。

春の後半は気を巡らせて

そして春も後半、随分と暖かくなってきたら、陽気が上へ上へと上がりやすくなりますので、気を巡らせてくれるような食材や食感のもの、気を降ろしてくれる食材を意識すると良いです。

気を巡らせてくれる食材は、柑橘類、紫蘇、ミントやレモングラスなど、香りの良いものが良いです。お料理にレモンをかけた時にぱぁっと気持ちが晴れやかになるのは、偶然ではないのですね。

気を降ろしてくれる食材ではアサリなどの貝類がとても良いです。アサリは貝殻の方に気を降ろしてくれる効果が、身には血を養ってくれる効果があるので、殻付きのまま調理しそのお汁まで頂くというのが、血虚によって気の上がりやすい方にはピッタリな食べ方です。

肝を整える食材を食べる

春は肝のトラブルが起きやすいので、肝を整える食材を意識するのも良いです。

苺やレバー、干し椎茸などは肝の陰血を補ってくれますし、菊花やクレソン、セロリ、ピーマンなどは上に上がってしまった肝の気を正常にしてくれます。

最後に

聖人の養生法は、病気になってからの治療法ではなく

病になる前の予防法である。

つまり国を治めることと同じように

世が乱れてから手をつけるのではなくて

戦乱が起こる前にそれを防ぐのである。

病気が発生してから治療法を講ずるのは

まるで喉が乾いてから井戸を掘り

敵が近づいてから兵器を作るのと同じで

すでに手遅れではなかろうか。

<黄帝内経・素問 四気調神大論>

まさに!!

 

ABOUT ME
麻生 摂子
子育てをしながら夫の経営する動物病院を手伝う中、夫の勧めでホメオパシーと出会いました。初めて参加したセミナーでホメオパシーに魅せられすぐに通学を決意、4年後晴れてホメオパスに。以後ホメオパスとして活動する中で様々な代替療法にも触れることとなり、自身の中で自然療法、代替療法の世界を広げていきました。ホメオパシーだけが素晴らしいわけでもありません。現在2010年から行っている健康相談会では、ホメオパシーをベースにそれぞれの療法の良さも取り入れ、クライアントさんが自分らしさを取り戻せるよう、その方に合った療法をお勧めしています。 獣医師。JPHMA認定ホメオパス/アニマルホメオパス/インナーチャイルドセラピスト。 国際薬膳学院認定予防医学食養生士/薬膳食療法専門指導士。

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