内なる自然治癒力をのびのび生かして暮らしたい!
との思いから、ホメオパシーと、穏やかなクラニオセイクラル・セラピーをライフワークにしている北海道・札幌在住のお手当てホメオパス、藤山道子です。
妊娠・出産時のホメオパシーケアについてご紹介する記事、3回目になりました。
究極の急性期だからこそホメオパシーを
ホメオパシーでは、病気は大きく「急性」と「慢性」のふたつに分けます。
妊娠・出産は一時的なものですから「急性」。
とくに分娩のそのときは、いわば究極の急性期。
身体も精神も大きく動くとき。
その大波の中では、いつも以上にレメディというエネルギー刺激に対する反応もいいのです。打てば響くように、ときにミラクルと思うほどに力を発揮します。
産後もしかり。
乳汁が分泌され、子宮の大きさが戻り、激変するホルモンバランス……とめまぐるしい変化が続きます。怒涛の急性期です。
このとき短期決戦で適切なレメディを使っていくと、産後の体力回復、傷やその他のダメージ回復を助けるのに役立ち、ただちに始まる育児生活の負担も減るというもの。
だからこそ、産前・出産・産後にホメオパシーを活用するメリットは大きいと思います。
では実際、出産の現場ではどんなふうにホメオパシーを使われるのか?
具体的にイメージをしたい。ということで、
おっと、その前にひとつだけご注意を。
妊娠・出産は病気ではない。けれど慎重にあらねばならないのはもちろんです。体調で気になることがあるときは、かかっている助産院や病院にしっかり相談し、今体がどんな状態なのかを把握しておくことはなにより大事!健診・診察をちゃんと受けて、異常ではない、あるいは今は様子を見ていていいということを確認しながらセルフケアをしていきましょう。
ケース1 【妊娠中~産後までレメディをフル活用】
30代。第2子の出産。(ホメオパシーユーザー歴2年)
自宅分娩希望のため、健康・元気な状態を保つことを強く意識し、早期から積極的にホメオパシーを活用したケース。
妊娠中
●カルシウムなどのミネラルを補う&体力UPのために
Calc-p.12X(カルク・フォス/リン酸カルシウム)
:骨の形成、歯の形成、骨粗しょう症予防、代謝の安定化、心臓の刺激伝統系に関係。
●妊娠線の予防と会陰裂傷の防止に
Calc-f.12X(カルク・フロアー/フッ化カルシウム)
:皮膚、繊維、腱、じん帯、血管の弾力性に関係。
※この2種類のティッシュソルトは妊娠初期~出産直前まで摂取
●お腹が空くとムカムカ。少しだけ何かを口にすると楽になる食べづわりに
Sep.(シイピア/イカスミ)
:女性ホルモンバランスの変調から来る問題全般に良いレメディ。つわりでは食べづわりにとくにマッチ。
●坐骨神経痛!? お尻、腰がシクシクと痛む
痛みが強いのは、右側。そして夜ふとんで横になったときに強まる。そのため寝ているときにも姿勢を変えたくなったり、ゲンコツでお尻を叩いてほぐしたくなったり、途中で目覚めることがしばしば……。
Kali-c.(ケーライカーブ/炭酸カリウム)
:妊娠中、分娩時の背部痛、腰痛に適応。症状は眠りについたとき、午前2~4時に悪化する傾向。
●「また切迫早産になってしまうのでは」と心配に襲われる
前回の妊娠中に切迫早産で入院したのと同じぐらいの週数になると不安が出てきた。Cimic.(シミシフーガ/サラシナショウマ(植物))
:流産、早産、難産などの体験が癒えておらず、また大変なことになるのではないかと恐怖感がわきあがるときに。感情が体調を大きく左右する傾向。
●こむらがえり
Mag-p.(マグ・フォス/リン酸マグネシウム)
:筋肉の引きつり、張り、痛み等にすばらしいレメディ。神経にも関わりが深く、頭痛や腹痛、生理痛、歯痛、神経痛など様々な痛みに合う。
●予定日ごろにちょうどよく生まれるように36週から開始
Caul.(コーロファイラム/ルイヨウボタン)
:お産の過程を調整するのに役立つすばらしいレメディ。自然に予定日近くに熟すように促す。36週ごろからとるといいといわれる。
出産
●さあ陣痛が始まった!
Arn.(アーニカ/ウサギギク)をすぐさま1粒!
:痛みにも、出血防止にもいいレメディ。「出産は全治1か月の内臓損傷に匹敵」ともいわれる。命をかける大仕事。「損傷」といえばまっさきにチョイスするのがArn.。
●ところが陣痛が途中で弱まり、なかなか進まず、疲れてくる
Gels.(ジェルセミューム/イエロージャスミン)
:微弱な収縮、止まってしまう収縮。体が重く力が出ない。あるいは力を使い果たした感じ。
●助産師さんが出たり入ったり……付きっ切りでそばにいてくれないのが心細い
Puls.200C(ポースティーラ/セイヨウオキナグサ)
:メソメソと涙ぐむような気分。不安から出産に集中できない。ちゃんとケアして欲しい、面倒をみて欲しい、守って欲しいといった心情にマッチし自立心を促す。逆子や、乳汁分泌過多のときにも使われる。
●「もう無理!」 痛みと苦しさからついには怒りが爆発!
Cham.30C(カモミラ/カモミール)
:陣痛とともにとても神経が立ち、痛みはもちろんのこと、目に入るもの、耳に入る音にもいらだっている状態。下手ななだめ方や、触れ方にもイライラする。あれもこれも気に入らず、「いい加減にして!」と叫ばんばかりのときにぴったり。
すると・・・
Cham.カモミラを1粒とった直後、スコーンと眠ってしまったというこの方。短いながら熟睡し、目覚めたときにはまるで数時間は寝たようにスッキリし、気分一新。すると陣痛がグングンつき始めてそこからは早かった。
あっというまに赤ちゃんがツルリと誕生!
出産後
●会陰の傷、腫れに手当てに
Arn.30C(アーニカ/ウサギギク)
:前述のとおり
Calen.30C(カレンデュラ)
:ホメオパシー版抗生剤ともいわれるカレンデュラ。裂傷、擦過傷、切り傷など傷全般によく、患部の化膿、瘢痕化、ケロイドを予防し、回復を促進。
カレンデュラのマザーチンクチャ―でコットン湿布
:カレンデュラはレメディでとるのもいいが、植物抽出液であるマザーチンクチャ―を外用で使う方法もとてもいい。この場合は水で薄めたMTカレンデュラにコットンをひたし、軽く絞って、トイレのたびにやさしくパッティングしたり、悪露パッドの上に敷いて湿布のようにする。
●子宮の痛み、後陣痛
Caul.(コーロファイラム/ルイヨウボタン)
:産後の子宮復古も助ける。
●おっぱいがバンバンに張って熱を持ち、あわや乳腺炎に
Phyt.(ファイトラカ/ヨウシュヤマゴボウ)
:乳腺炎のNo.1レメディ。
Bry.(ブライオニア/シロブリオニア)
:固く張って石のよう。水分不足で喉が渇く。
●数日後、やっと湯船につかるときには
Arn.(アーニカ/ウサギギク)を2~3粒と
カレンデュラのマザーチンクチャ―20滴ほどを浴槽に入れて疲れを癒す
●赤ちゃんのおむつかぶれに
会陰ケアと同様に
カレンデュラのマザーチンクチャ―を薄めてやさしくコットン拭き
さらにカレンデュラ入りのクリームを塗布
●赤ちゃんの口の中が白っぽいのは鵞口瘡?
鵞口瘡とは赤ちゃんのほほや唇の内側、舌など口腔内の粘膜にできる斑点状の白い苔。真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が原因。ミルクのカスと違って、ガーゼなどでこすってもとれないのが特徴。
Bor.(ボーラックス/ホウ砂)
:口腔カンジダやヘルペスに。抱っこを降ろすなど下に向かう動きや、少しの物音に過敏な様子が目立つときにもいい。
ホメオパシーフル活用での出産は、なにも知らなかった一人目のときよりも、産後の体が元気。年は取っているはずなのに、むしろ今回の方が疲労感がずっと少ないのを実感。それと会陰の痛みは前回が10とするなら、ホメオパシー活用の今回は3ぐらい。傷の回復の速さもかなり違った。
ケース2【妊娠糖尿病へのホメオパシー集中ケア】
30代女性。ホメオパシーユーザー歴は数か月。
第2子妊娠中、26週の健診時に「程度は軽めだが妊娠糖尿病である」と診断され、インスリン注射予定となる。注射開始まで少し猶予があるので、それまでに&たとえインスリン注射しながらでもできることを、とホメオパシーでセルフケアすることに。
マザーチンクチャ―のモラス(クワ)
:高血糖、糖尿病、骨粗しょう症に良い。カルシウム、マグネシウム、それに亜鉛を豊富に含有。
マザーチンクチャ―のアラリア(タラノメ)
:糖尿病、高血糖、高血圧、胃腸の潰瘍にGood。
どちらも1日10~15滴を目安に、水やお茶に入れて飲む。
Syzyg.(シジギウム/フトモモ科の植物)
:血糖値を下げる救世主的レメディとして知られる。1日1粒でしばらく継続。
すると・・・
検査数値がぎりぎり正常範囲内に。インスリン注射はせずに済み、そのまま無事出産。産後も糖尿の数値は出ずに異常なし。気分も安定していて産後ってこんなに穏やかだっけ?と自分でも驚くほど。
ケース3【予定日超過からできること】
40代。ホメオパシーユーザー歴約3年。
第2子妊娠。もともと胃腸が弱く、虚弱な傾向があるので初期からホメオパシーで体力サポートをしつつ穏やかに過ごすが、40週過ぎても陣痛が来ず。そこから持っているレメディを駆使して集中的なホメオパシーセルフケアを実施。
●40週4日目 「まだ陣痛の兆候なし」
Caul.(コーロファイラム/ルイヨウボタン)
:ちょうどよい時期にお産になるよう熟させることで知られるレメディ。
それまで週に1回とっていたが、1日1回に増やす。
Carb-v.(カーボベジ/植物炭)
:酸素をしっかりとりこみ、血を巡らせ、元気・活力を出すために。1日1回。
●41週突入「明日朝までに陣痛が来なければ促進剤使用または帝王切開」
どっしり構えてはいられずメンタルも不安定気味。ここ数日はちょっとした言葉に傷ついたり、急に前向きになったり、感情が激しく動きながらやきもきして過ごしていた。
お灸、アロマをしたり、体を動かしたり思いつくことはしているがまだ陣痛の気配なし。Puls.(ポースティーラ/セイヨウオキナグサ)
:揺れ動く感情+なかなか訪れない陣痛に合う。自立のレメディでもあるので、赤ちゃんがお腹から出てひとりで外の世界に出てくるのを促すともいわれる。
すると・・・
急いで病院へ。そこから陣痛がどんどん進みはじめる!
●いい調子なのだが母、ちょっと血圧が上昇
Bell.(ベラドーナ/セイヨウハシリドコロ)
:急に血圧が上がるなど、急性期に非常にいいレメディ。頭や頸動脈に拍動感。高年齢での出産の時に役立つとされている。
●胎便で羊水混濁あり吸引分娩
分娩中に胎便が出てしまうのは、酸素不足など赤ちゃんが苦しくなっているサインなので、場合によっては帝王切開になる場面。便が赤ちゃんの肺につまってしまうと、うまく呼吸ができなくなる「胎便吸引症候群」を起こす可能性もある。そのため早めにお腹の外に出したほうがいいのだけれど、もう間もなく生まれそうなところまで進んでいるので、帝王切開ではなく、吸引分娩することに。赤ちゃんの頭にゴムのような素材でできたカップ状の吸引器具ををぴったりとくっつけて陣痛に合わせて引っ張る処置。
これにより無事、すみやかに誕生!
そのあとに
Calen.(カレンデュラ)
:吸引分娩は会陰切開も伴うのでその傷に。母がとる。
Cic.(セキュータ/ヨーロッパドクゼリ)
:頭部、頸部に強い負担がかかったとき。頭を引っ張られたあとに良いレメディ。吸引分娩、鉗子分娩による衝撃や負担を残さないために。母乳が出るので母がとることで赤ちゃんにもレメディを伝える。
「色々な処置はしたけれど、レメディをとったからか、お産が始まったら本当にあっという間に進んで助産師さんもびっくりしていました」
以上、3ケースをご紹介しました。
ふだんからホメオパシーに親しんでいると、いざ!という場面でこんなふうに活用できるし、レメディ選びに迷うときにはホメオパスに相談して、アドバイスを聞きながらやれば、よりスムーズ。
まずはぜひ日常でのホームケア、セルフケアにホメオパシーを取り入れてみてください。
自分でできることがあるっていいですよ。