北海道・札幌からこんにちは。
癒える力は自分の中に。
その内なる力へのアクセスを、ホメオパシーとやさしい手技療法で応援する、お手当てホメオパスの藤山道子です。
(手技療法は、クラニオセイクラル・セラピーをベースにした「和のお手当て」をしています)
妊娠・出産のとき、なるべく薬に頼らない自然なやりかたで健康を保ちたいとは、多くの方が思うこと。そんなときこそ、ホメオパシーを役立ててほしいと思います。
ホメオパスの元には、妊婦さんからこんなお悩みがよく寄せられます。
・つわり ・お腹の張り ・妊娠線の心配 ・むくみ ・こむら返り、腰痛、関節痛
・気分の落ち込み、情緒不安定 ・便秘、痔 ・皮膚の痒みや湿疹
・血糖値の問題 ・貧血 ・前置胎盤 ・逆子 など
まずはなんといっても、「つわり」(悪阻)でしょう。
つわりは、妊婦さんのおよそ8割が経験するといわれています。
今回はつわりについてまとめます。
ぜひ男性にも読んでいただき、
パートナーの身体について理解を深めてもらえるとうれしいです!
つわりの症状は人それぞれ
今は昔、昭和のドラマでよくあったつわり描写といえば・・・
家族団らん中に若妻が急に「うっ」と口元を押さえてトイレに走る
→ 夫「どうしたどうした!?」
→ 心得顔でつぶやく姑さん「あらタマコさん、もしかして…?」
→ おめでた判明
というのが王道でしたが(笑)、当然ながらつわりはこんなパターンばかりではありません。
つわりは個人差が大きいもの。
軽いムカムカ程度が短期間で終わる人もいれば、臨月まで吐き気がおさまらない人、逆に気持ち悪さを消すために食べずにいられなくなる「食べづわり」、吐き気はないけれどただただ眠くてだるく一日ほとんど横になって何もできない「眠りづわり」もあります。唾液が口にあふれてきて、吐き出さずにはいられないという人も。
それらとともに「においにとても敏感になる」のは、多くのつわりに共通です。
ちなみに10数年前のわたしのつわりは、どの料理も全般的に進まず、好物をリクエストして作ってもらっても、出来上がる途中のにおい(いい香りのはずなのですが)でゴメンやっぱりダメだ……となること多数。フライドポテトだけが美味しく感じられたという症状でした。当時のわたしの心の声と対話してみたいと思います。
でも個人差があるから、人と比べすぎないようにするのは大切です。
解説しましょう!
つわりの原因
1.ホルモンバランス説
妊娠すると増える女性ホルモン物質のうち、
●ヒト絨毛性ゴナドトロピン → 脳の第4脳室にある嘔吐中枢を刺激するので吐き気が増す
●プロゲステロン→体内のガスを増やすので吐き気が増す
●エストロゲン→ 脳内セロトニン分泌を促進する結果、嗅覚が敏感になる
というメカニズムがそれぞれあることがわかっています。
しかも、妊娠中は、とくにアンモニアの臭いに対するセンサーが鋭い状態になっているのだそう。アンモニアは食品のほとんど含まれるので、食べもののにおいで気持ちが悪くなるのはそのためだとか。したがって、食品のアンモニア臭対策をすることで症状が軽くできるとする説もあります。
参考までに以下に対策例を挙げておきます。
(つわり中の妊婦さんがすでに自然にやっていることがほとんどかもしれませんが!)
食事のアンモニア臭対策
★アンモニア含有量が少ない食品をうまく使う
りんご、なし、キーウィ、グレープフルーツ、ぶどうetcの果物類。もずく、レタス、白菜、トマト、じゃがいも、ピーマン、かぼちゃなど。
★冷まして減らす
アンモニアは気化するので熱々で湯気が出ている状態では臭いが強め。冷ましたほうが感知する臭いが減って食べやすくなる。
★酸性食品で中和する
中和には、酸性食品が有効。梅干しやレモンを組み合わせると、アンモニア臭による不快感が減り、食べものを口に入れやすくなる。
2.ミネラル不足説
妊娠中は、おなかの赤ちゃんを育てるために、そもそもの必要量が増加。しかし、摂取量が追い付かずに不足しがち。すると、腸の動きが悪くなって消化力が低下。結果、悪心や胸やけ感が出やすくなり、つわりが発症、または悪化することに。
とくにマグネシウム、カルシウム、カリウムのバランスが重要といわれます。
マグネシウムは皮膚から吸収が可能!
主成分がマグネシウムの「エプソムソルト」を入浴剤代わりにお風呂に入れてつかると、マグネシウムを経皮吸収できるうえ、体を温める効果も高いので、血流促進、リラックスの効果も同時に期待できる。
3.ビタミン不足説
ビタミンはどれも大切だけれど、とくにつわりに関してはビタミンB6が重要。足りなくなると吐き気が増すことが知られている。そのためつわりがひどい場合には、病院でビタミンB6が処方されることも。
ビタミンB6が多く含まれる食品例:唐辛子、ニンニク、米ぬか、カブの葉、パセリ、マグロ、カツオ、牛レバー、鶏ササミ、しょうがパウダー、ドライバナナなど。
3.精神ストレス説
不安やストレスは、自律神経を乱す要因になるので、消化や睡眠に影響大。つわりの直接原因ではなくても、今現在のつわりをより悪化させる・長引かせることになりやすいので注意したいところ。いずれにしてもリラックスは妊娠期間通して大事なことといえます。
リラックスのためには、ふれあいや寄り添いがとても有効。「人は皮膚から癒される」というように、脳より先に快不快を判断して心に大きな影響を与えるのが皮膚。やさしいスキンシップ、心地よいタッチケア、ぬくもりを感じる位置で寄り添ってもらうだけでも愛情ホルモンとよばれるオキシトシンが分泌促進されて、ストレスを軽減してくれる。
ホメオパシーでつわり対策
●マザーチンクチャ― ・・・栄養吸収力UPのサポートに
アルファルファ
消化不良、栄養吸収不足、食欲不振で虚弱状態にある人、それに貧血傾向にもいいのが、このマメ科のアルファルファ。葉酸も豊富に含んでいるので、どの妊婦さんにもすすめることができるチンクチャー。
ジンジバー
吐き気や胃酸過多、弱った消化力を助けるショウガのチンクチャー。おなかにガスがたまりやすい、ゲップが出る、吐き気が止まらない人に。
なお、ショウガは洋の東西を問わず、つわりを軽くすることが経験的に知られ、そのため民間療法レベルで使われてきたが、2004年にオーストラリアAdelaide大学産婦人科による臨床試験で、ビタミンB6投与に匹敵するつわり改善効果がショウガ粉末摂取で得られたという結果が出ています(注)。
(注)A Randomized Controlled Trial of Ginger to Treat Nausea and Vomiting in Pregnancy
*マザーチンクチャ―:1日10~20滴を適宜飲む
●ティッシュソルト・・・体内ミネラルバランス適正化のサポートに
Calc-p カルクフォス
妊娠中のカルシウム代謝サポートに。骨、歯の形成を助ける。消化不良、疲れやすい状態に。
Mag-p マグフォス
マグネシウムのサポートに。ガス腹、足のこむらがえり。精神+肉体の疲労感。
Ferr-p ファーランフォス
鉄分をサポート。血中の酸素運搬を調整。貧血傾向、嘔吐の続くつわりに。Calc-p.と一緒に使用することで骨と血の栄養に。
*ティッシュソルト:1日1~4粒を適宜とる
●レメディ・・・自分の状態に似たものを選んで自己治癒力を上げる!
Ip イペカック
吐いても楽にならない、たえまない持続的な吐き気。喉は渇かず、舌はきれい。多量の唾液が出る。暖かくて湿気のある天候、脂っぽい食べ物で悪化。
Sepia シイピア
胃が空っぽの感覚をともなう吐き気。食べることで一時的に緩和される吐き気。酸っぱいもの、冷たいもの、チョコレートが食べたい。疲れきってみじめな気分。一人になりたい。性交を嫌う。
Nux-v ナックスボミカ
匂いだけでなく音、光、衣類の圧迫感などあらゆる刺激に敏感で、ちょっとしたことでムカムカと気持ち悪さが出る。吐き気は朝起きた時に多い。イライラして批判的な気分。ゲップや便がすっきりと出しきれない感じ。
Puls ポースティーラ
アイスクリームや菓子パンなどバターや脂肪分の多い食べ物を欲するが、食べると悪化する吐き気、胸やけ感。新鮮な外気の中をゆっくり散歩すると好転。空気の動かない温かい室内で悪化。情緒不安定で涙もろく、注目して慰めてほしい。
Lob ロベリア
タバコの臭いに耐えられない。みぞおちの衰弱感。冷たい汗や、持続的な唾液分泌を伴う吐き気、嘔吐。ほんの少しの食べ物、飲み物を口にすると好転。不安が強く、軽い症状でも死んでしまうのではないかと思ったり、過呼吸気味になる。
Cocc コキュラス
食べものを見る、思いうかべる、においを嗅ぐだけで吐き気がする。唾液の増加。めまいを伴う気持ちの悪さ。車や電車など乗り物の揺れで悪化。または動いているものを見て悪化。喉に異物感があり、飲み込みにくい感じ。
*レメディ:基本は1日1粒 ただし頻度は状況により異なる
ここに紹介したのはごく一部。つわりに合うレメディは他にもいくつもあります。
セルフケアではよくわからないとか、きちんとケアをしていきたいときは、お近くのホメオパスに相談して、自分に合うレメディプランを提案してもらってくださいね。
「つわりの効用」をあえて考えてみる
つわりはとても辛くて、気持ちもやられてしまいますし、日常生活にも支障がありまくりです。家族の理解がないと孤独にもなってしまいます。
ですが、物事には必ず、反対の面もあります。
せっかくなので、つわりのメリットも考えてみませんか?
まず、あまりにも具合が悪くなることで、「もはや頑張れなくなる」。
これはとてもいいことだとわたしは思います。
いつも無理をして我慢する、頑張るクセのある人は、ちょっとした不調やアクシデントなら自力で対処し、やりすごしてきたことでしょう。ちょっとしたことは人に助けを求めず、相談もしなかったのでは?
ですが、おなかに赤ちゃんが宿り、コントロール不能のつわりに襲われたなら、ついに「もうお手上げ」です。
できない、やれない、人に頼るしかない、自分の頑張りではもう無理。
これがいいのです。
できない自分を認めて許し、コントロールができないから、その流れに身をまかせ、近くの人に頼ったり、ぶつけたりしながら、「今そのとき」を臨機応変に生きるのみ!
「ちゃんとしていきなきゃいけない自分」を手放して、観念して、おなかが大きくなっていく自然&野生のはたらきに身をまかせると、身体もほっとゆるんでいくことでしょう。
(余談ですが、それは頑張りグセで力の入っていた腰の緊張を解くことにもなります。すると骨盤の開きがスムーズになり、結果、つわりが楽になるというのは整体的な視点から言えること。)
つわりをチャンスに、自力から他力の世界へ。
いっそ枠を広げる機会にできたらいいなと思います。
そしてもうひとつ。
辛いつわり期間は、不快センサーが発達しているだけに、裏を返せば「いいものを選びとる」ことができやすいということ。
においでいえば、つわりで過敏になるのはアンモニア臭だけでなく、洗剤などの香料や煙草の煙でも同様のことが多いです。
とくに香料は、昨今「香害」という言葉も生まれているように、化学物質過敏症などアレルギー的な症状の引き金になることが知られ、社会問題化もしています。ホメオパシー相談に来られる方にも多い症状です。
においを辛く感じることをきっかけに、ふだん使う洗剤類を見直してみるなど、日用品に「刺激の少ない」ものを自然にチョイスすることになる………。
これは、つわりの効用のひとつといえます。
なにせこれから生まれてくる赤ちゃんは、まだ体の機能ができあがっていない、とてもデリケートな存在。
つわりをきっかけに見直す衣食住のあれこれは、赤ちゃんを優しく健やかに育てる環境づくりにきっと役立ちます。
すっかり長くなりましたが、以上、参考になれば幸いです!