体の悩み

赤ちゃんの発達は「抱っこ」で変わる

ホメオパシーと手技療法で内なる治癒力の泉にアクセスする北海道・札幌在住お手当てホメオパス、藤山道子です。

赤ちゃんの機嫌の悪さ…理由は「背中」にあり!?

ホメオパシーとともに私がおこなっている手技療法は、クラニオセイクラル・セラピー(頭蓋仙骨療法)をもとにしたお手当て法です。体に圧をかけずソフトなタッチで触れながら、筋肉の緊張やこわばりが自発的にゆるんでいくのを促し、ひいては脳脊髄液の流れを促進するという技。
深くリラックスできるとともに、呼吸が深まり、コリや痛みが軽くなる、視界が明るくなる、頭がすっきりするなどの体感が得られるため、産後のお母さんからの施術依頼も多くあります。そのとき求められて赤ちゃんにも施術することがありますが・・・

「寝ない」「眠りが浅くてすぐ起きる」「おっぱいを上手に飲めない」「顔色が悪い」「手足が冷たい」「便秘がち」「機嫌が悪い」「泣いてばかり」
などお母さんが訴える、いわゆる気難しい赤ちゃんの多くは、共通してある身体的な特徴がみられます。
それは 背中と首の緊張が強い ということ。

◎抱っこしたときに背筋が張って硬い

◎体が後ろに反り返りやすい

◎向き癖が強く片方に体がねじれる

そして、このような硬い背中が施術でふわりとやわらぐと、顔色や呼吸のリズムが目に見えて良くなることがとても多いのです。

背中・首の硬さと発達リスクの関係

背中の緊張がとれると、のけぞることで圧迫されていた気道や胸郭にきちんとスペースができ、しっかり呼吸が入ります。また、舌を自由に動かすことができ、飲み込む動作もしやすくなるのでおっぱいやミルクの飲みも勢いが増します。
(そんなに違うものかね~?と思った方、試しに背中を反らして水を飲んでみてください。難易度の高さがわかります!)

息が楽、飲むのが楽、これだけでも赤ちゃんのごきげんは良くなりますが、大切なのは今この瞬間の快適さだけではありません。
背中の柔軟性は、この先赤ちゃんがすこやかに発達していくための重要な土台になるのです。

首から背中にかけて硬い = 背骨の動きが悪い と、どうしても無理な体の使い方をせざるを得ないので、安定した姿勢を保ちにくくなります
歪んだ姿勢は、ハイハイや歩きかた、走りかたに影響が出る可能性が多分にあり、大きくなったときに「目で見ながら手で書く」といった協調運動が苦手になりやすいことも指摘されています。
また、脊柱が歪むと自律神経の問題を抱えやすくなるので、「朝起きられない」「夜寝られない」などの生活リズム変調にもつながりやすいです。

赤ちゃんがいつもぐずっていて育てにくい……と今感じているお父さん、お母さん!
ホメオパシー相談ももちろん大歓迎ですが、ぜひ赤ちゃんの背中の緊張をゆるめる物理的アプローチを日々の暮らしに取り入れてください。
やりかたは簡単です。
毎日の「抱っこ」を工夫すればいいのです。

ポイントは、赤ちゃん特有の背骨の形に添う。シンプルにこれです。

大人とはまったく違う赤ちゃんの背骨

新生児から3か月ごろまで:全体が丸い「C」の字型

そもそも人間の赤ちゃんは、他の動物に比べて未成熟な状態で生まれ、立って歩くまで1年ほどもかかります。
歩行前までの赤ちゃんの背骨は、直立用にはまだできていなく、「お母さんの子宮の中」にいた状態が基本形。
手足を曲げて引き寄せ、両手は口もとに、そして背中は丸まったC字カーブ。これをプライマリーカーブ(=脊柱の第1カーブ)とも呼びます。
このCカーブこそが赤ちゃんの自然体であり、無理に伸ばすのは、赤ちゃんにとってはかなりストレスがかかることといえます。

首がすわるころ:頸椎にカーブができる

成長過程で、背骨はC字型から、直立歩行に耐えうるS字型カーブへと徐々に発達していきます。最初に現れるのは、首のゆるやかな前への湾曲。セカンダリーカーブ(脊柱の第2カーブ)です。
この首の前湾ができることで、首をしっかり支える=首すわり が可能になっていきます。とはいえ首の筋力自体はまだまだ弱いので、この時期も背中のCカーブは大切に守りたい時期です。

腰すわり~歩き出し:腰椎にカーブができる

腰がすわるころから、腰にもわずかに前カーブができ始めます。
そうしてしだいに筋力が強くなって直立・二足歩行を始めるようになると、よりこの前湾がしっかり形づくられるのです。
その後、成長とともに腰椎の前湾は完成に近づいていきますが、大人と同じようなS字カーブになるまでは10年ほどかかるそう。
なお、ヒトは類人猿から進化してきたと考えられていますが、直立二足歩行しない類人猿にはこの腰椎の前湾はありません。いわば、ヒトをヒトたらしめるのがS字カーブです。

ふんわり丸く育てよう

まるで壮大な進化の過程をなぞるように、背骨のカーブをわずか1年の間にこんなにも変えて成長する赤ちゃん。その発達プロセスをスムーズに次につなげるためには、未熟な腹筋や背筋によけいな負荷をかけないことがとても大事です。

とくに新生児~首すわりまでは、基本形であるCカーブをやさしく維持するよう「ふんわり丸く」してあげることがポイント。

 

Cカーブを守るには

●頭とひざ下をすこし高くして、おしりがやや下がるようなポジション

●抱っこなら、両腕で作った輪に赤ちゃんをすっぽり収めるように抱く

●ねんねのときはタオルや授乳クッションなどでドーナツの形を作って寝せる

赤ちゃんは生理的に自然な姿勢である背中のCカーブを守られると、肺呼吸が深くおこなえ、末梢血管の酸素飽和度を高く保てます。そのため、生まれた赤ちゃんにこのポジションの寝せ方を実践する産科や助産院も多いです。
逆に平らな固い布団で仰向けに寝かせっぱなしだと、背骨がまっすぐに伸ばされてしまうので、赤ちゃんはバランスをとるため首を不自然にひねり、体が反り返りやすくなる=首や背中の緊張を生みやすく なることも。姿勢を変えたくてすぐに泣いたり、ぐずったりもします。
そんなときは背中のカーブに沿った姿勢をとらせてあげることで、赤ちゃんは楽になり、ごきげんになる可能性があるというわけです。

ちなみに私の子どもが通った保育園の乳児クラスでは、発達専門の小児科医のアドバイスにより、赤ちゃんのお昼寝に「浮き輪」がベッドのように使われていました! 浮き輪を利用してCカーブを保っていたのですね。

その抱っこ紐は赤ちゃんにほんとうに合っている?

さて、家での抱っこなら素手でいいですが、外出するとなると抱っこ紐を使うことになります。抱っこ紐でも、赤ちゃんの背中のCカーブを保てるようにするのは大切です。

抱っこ紐でのコツ

・赤ちゃんの足をM字に開脚させる(しゃがんだ姿に近いイメージ)
・頭までしっかり支える
・赤ちゃんの頭にキスができるぐらいの高さにセットする

今は新生児からも縦抱きができるという抱っこ紐もありますが、既製品は必ずしもわが子にジャストフィットするわけではありません。
抱っこ紐の中で赤ちゃんの体が左右に傾いたり、背中が変にまっすぐだったり、あるいは少しでも反るようならば、首のうしろにタオルなどを入れてCカーブを作りましょう。どんな抱っこ紐でも赤ちゃんに合わせてひと手間カスタマイズを加えれば、快適度が数段上がります。

気をつけたいのは「首カックン」「お口ポカン」

首カックン

抱っこ紐でぐっすり寝ている赤ちゃんの首が、カックンと大きく後ろに倒れているのを見ることがあります。少しの時間ならほほえましいけれど、長い間だとちょっとヒヤヒヤ……。大人でも首カックンでうたたねすると首が辛くなるのに、まして赤ちゃんは、頭が全体重の30%もあります。首、大変!
首にはたくさんの重要な神経、血管が通っているので滞りは禁物だし、首の筋肉が緊張して固まることで、左右を自由に「見る」動きがスムーズでなくなるということも指摘されています。

お口ポカン

カックンと後ろに反り返ると、自然に口がポカンと開いてしまいます。
これが続くと本来の鼻呼吸から→口呼吸になる心配があります。
口呼吸のリスクは以下の通り。

・かぜをひきやすい(細菌やウイルスが入りやすくなる)

・喉が乾燥し、慢性的に炎症を起こしやすい

・口内の乾燥により、虫歯になりやすい

・舌の位置が落ちて、あごがしっかり発達しにくい

・その結果、歯並びが悪くなりやすい

・脳が冷やされず、ぼーっとしたり頭痛が起きやすい

鼻腔の奥には脳とつなるがっている毛細血管がたくさん通っていて、鼻呼吸で冷たい空気を通過させることにより、脳を冷やすことができます。脳は熱に弱く、鼻呼吸という冷却装置がうまくはたらかないと、頭がぼーっとしたり、頭痛を起こしたり、暑い夏は熱中症のリスクも上げてしまうというわけです。
また、喉などが慢性的に炎症を起こしやすい状態だと、アレルギーやアトピー性皮膚炎などにもつながりやすいので、注意したいところです。

快適抱っこは、お母さんの心と体も守る

以上のように、赤ちゃんの背中を緊張させず育てることができれば、様々な健康と発達のリスクを下げられるといえます。
そしてなにより、子育てがラクで楽しくなるのがいいと思うのです。
ふんわり抱っこで赤ちゃんのごきげん時間が増えたなら、子どもがいっそうかわいく感じられます。お母さんにもゆとりができ、精神的に追い込まれることが減るはずです。
背中がふわりとやわらかな赤ちゃんは抱っこしたときにぴたりとこちらの体になじむので、抱くときの肉体的な負担も明らかに少なくなります。反り返りの強い赤ちゃんを抱っこするのは、まるでとれたてピチピチのマグロを抱くように力がいる(かつての私の実感)のですが、日々の抱っこでだんだんに丸くフィットして抱けるようになると、重さをそこまで感じずに済み、腰痛やぎっくり腰も防げます。
もちろん、赤ちゃんの泣きやむずかりの原因は背中の緊張だけにあるのではないし、個性としてよく泣く赤ちゃんもいますが、それでも抱っこのときに体が楽で発達のサポートにもなるという点から、「ふんわり丸く」はおすすめです。

それでも不機嫌な赤ちゃんへのホメオパシー

さて、抱っこの工夫で背中カーブは守ったとしても、やはり赤ちゃんはときには「荒れ狂う」もの。大いなる自然と同じく、たまには嵐も吹き荒れます。
あるいは生まれながらに、なんらかの過敏性をもっていることもあります。
そんなときホメオパシーをぜひ役立ててください。
一人ひとりの状況により適するレメディは異なりますが、一般的に「むずかって困る」「夜泣きがひどい」などのときによく使われるレメディをご紹介します。今日のこの子は荒れているなあ……というとき、30Cか200Cで1~3回リピートするといいでしょう。
なお、急性対処ではなくもっと潜在的な部分からしっかり取り組む必要があると感じるときは、ぜひホメオパシー療法家(ホメオパス)にご相談ください。

■Cham.カモミラ
・むずかり、泣き叫ぶことの多い赤ちゃん。
・落ち着きがなく、抱っこされたときだけ治まる。
・抱っこでもじっと動かなかったり、すぐに下におろされたりすると大声で泣く。
・痛みに敏感で歯の生え始めのむずかりにもいい。

■Bor.ボーラックス
・不安な赤ちゃん。
・下降する動きと、物音に敏感。
・くしゃみや掃除機など突然の音にびっくりしたり、わずかな物音でも目覚めて泣く。
・眠っているときに突然悲鳴を上げる。
・排便前にむずかり、終わると機嫌がよくなる。

■Puls.ポースティーラ
・母親やお世話してくれる人に、泣いてべったりとくっつき、めそめそする赤ちゃん。
・とくに夕暮れ時~夜に不安で泣く。
・室内ではむずかるが、外に出ると機嫌がよくなる。
・移り気
・しがみつく

■Stram.ストラモニウム
・知らない人に対する不安。
・暗闇や夜を怖がる。
・恐ろしい夢を見て目を覚ますが、だれのことも認識していない(意識はまだ夢の中にある状態)。
・水や鏡のようなきらきらしたまぶしいものを怖がる。
・かんしゃくを起こすとかみつく傾向。
・誕生(出産)時に怖い思いをした影響。

和のお手当て(クラニオセイクラル・セラピー)について⇒ NPO和のお手当て会
赤ちゃんの抱っこのしかたを教えてもらう(様々な団体や資格がありますがそのひとつ)⇒ベビーウェアリングコンシェルジュ
ABOUT ME
藤山 道子
実家は2代続いた薬局。息子の免疫不全を疑われるほどの病弱さがホメオパシーで改善したのをきっかけに、次男妊娠中の2007年、専門的に学ぶべくRAH(現CHhom)に入学。在学中にホメオパシーをフルに活用して、楽しく元気に自宅出産。授乳しながら学校に通い、学んだことを子育てに即実践する4年間を経てホメオパスになりました。さらに、ホメオパシーと相乗効果が高く、赤ちゃんからお年寄りまで対応する手技療法「頭蓋仙骨療法(クラニオセイクラル・セラピー)」も学び、ホメオパシーとの両輪で活動。その人本来の「あるがまま=spontanea」の心地よさを取り戻してもらえるように、すべてのセッションはほっとゆるんで、ふっと笑えて、すっと軽くなる雰囲気でおこなうのがモットー。自身の経験から妊娠、出産、赤ちゃんのケアに関する相談のほか、意外に男性からのご相談も多いほうです。 JPHMA認定ホメオパス/クラニオセイクラル・セラピープラクティショナー/NPO法人和のお手当て会講師

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