ストレス社会では思春期の頭痛は日常生活に大きな影響を与えるのでケアしてほしい!
思春期の頭痛
思春期と成長期
誰もが通る思春期。子供から大人に変わる時期のためホルモンバランスが変わり心にも体にも大きな変化が出たという経験をした方も多いと思います。誰にも言えないことが増えたり人間関係に悩んだりする時期でもあります。
男の子は精通、女の子は初潮を迎える時期でもあるので、その変化にとまどったりすることもありますよね。
ちょうどその時期に頭痛に悩まされる子たちが増えてきます。日常生活に困る程なのに病院に行かず我慢したり、親がそれほど心配しておらず放っておくことも少なくないようです。
思春期特有の頭痛には「起立調節障害」に伴う頭痛があります。成長期で身長が急激に伸びて「朝起きられない」、「午前中調子が悪い」、相談者さんの娘さんのように「立ちくらやみやめまいが起こる」ことからの「頭痛」かもしれません。体の急な成長に自律神経の発達が追いつかないため全身のバランスが乱れているため起立調節障害が起こると考えられています。
そのことを多くの人に知ってほしいと福岡県の女子高生たちが短編映画を撮影するほど彼女たちにとっては大きな悩みの一つになっています。
思春期の頭痛の種類
思春期にあたる中学生と高校生の頭痛のほとんどは、血液検査や画像検査で異常のみつからない「機能性頭痛」といわれるもので、「片頭痛」や「緊張型頭痛」が大部分です。
片頭痛の原因は、実は明確には解明されていませんが以下の3つの説が提唱されています。
- 血管説(セロトニン説)
- 神経説
- 三叉(さんさ)神経血管説
現在のところ最も有力なのは「三叉神経血管説」で三叉神経は顔面周辺に存在している、脳神経の中でも最も大きい神経が影響しているという説です。
思春期の頭痛の有病率は?
小児の一次性頭痛の代表的なものは片頭痛と緊張型頭痛である。小児の片頭痛の有病率は,世界各国 の人口統計基盤の調査で 3.8~13.5%,学校(学生数)基盤の調査で 1.7~21.3%,緊張型頭痛はそれぞれ 17.4%、0.7~27.6%である。日本人小児では片頭痛の有病率は中学生で 4.8%(男 3.3%,女 6.5%)、 高校生で 15.6%(男 13.7%,女 17.5%)、緊張型頭痛の有病率は高校生で 26.8%(男 23.0%,女 30.6%) というデータがある。
片頭痛は高校生で15%以上、緊張型頭痛は25%以上もあり、しかも女の子の方が割合が高いようです。片頭痛は日本人高校生の7人に1人、緊張型頭痛は4人に1人と考えると、これを読んでくださっているあなたのお子さんもその可能性があるかもしれませんね。
大人でも頭痛持ちの方は少なくありませんが、特に思春期には1カ月に15回以上の頻度で3カ月以上続く「慢性緊張型頭痛」が起きやすくなります。ひどい頭痛で朝起きられない、動けないという状態が続くため、登校時間を遅らせたりすることが増え結果的に不登校になってしまうということにも繋がりかねません。
相談するのは何科のドクター?
まずはかかりつけのDr.に相談してみてください。特定のかかりつけ医がいない場合や病院に行く場合は下記が一般的に選択される科になります。
- 内科
- 頭痛外来
- 神経内科
- 脳神経外科
鑑別診断を目的に検査をする場合はCTやMRI持っているクリニックや脳神経外科を探してみてください。
特に頭をぶつけたなどの外傷による影響から頭痛が続いている場合はもちろんですが、もやもや病や脳腫瘍、検査をしてみたら小さな脳梗塞やくも膜下出血などの可能性も非常にまれですががあります。
鑑別診断をするために一度CTやMRIで検査をしてみることをおすすめします。安心材料は多いにこしたことはありませんしね。
思春期の頭痛が増えている背景
片頭痛が起きる原因として最も考えられるのが睡眠不足です。小学生の頃から塾や習い事、クラブ活動、受験、SNS、ゲーム、お友達とのお付き合いなど、やることが多くなり就寝時間が遅くなって片頭痛が起こるケースが見られます。
また、緊張型頭痛の原因としてはスマートフォンやゲームなどの使い過ぎで姿勢が悪くなり、肩や背中のこりから起こったり、習い事や学校でのストレスが原因のケースもあります。片頭痛のように日常的な行動ができなくなるほどの強い症状ではありませんがだらだらと嫌な痛みが続きます。
医学雑誌でも「大人が毎日残業している過労状態と一緒」と書かれている記事がありましたが、まさに子供たちも過労が続いているので休息が必要ですね。(そうは言っても休めないところも親と一緒です)
子供は元気!という印象を持ちやすいですが、ライフスタイルが大きく変化しているので子供の症状も大人に似てきているかもしれませんね。
思春期の頭痛への対処法は?
よく使われる薬剤
軽症〜中等症にはNSAIDS(消炎鎮痛剤)
中等症〜重症はトリプタン系製剤
トリプタン系製剤でよく使われている薬剤
- イミグラン(一般名:スマトリプタン)
- ゾーミッグ(一般名:ゾルミトリプタン)
- マクサルト(一般名:リザトリプタン)
- レルパックス(一般名:エレトリプタン)
- アマージ(一般名:ナラトリプタン)
一般的にはこれらの薬剤がよく使われていますが小児においては慎重に使用した方がいいようです。
まずは非薬物療法から
小児片頭痛においては,第 1 に頭痛の誘因を知り,避けること,また規則的な睡眠,食事,運 動,バイオフィードバック,ストレス治療などの非薬物療法・生体行動療法(biobehavioral treatment) が勧められる1)。
子どもの頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)はまずは薬に頼らない「非薬物療法」から始めることが勧められています。その基本は「早寝、早起き、適度な運動、正しい姿勢」を心がけることです。
とても当たり前のことすぎて笑いたくなってしまいますが、大人も子供もそれができていないので大人が率先していきたいですね。既にお伝えしましたが寝不足が大きな原因として考えられているので特に注意しましょう!
こうした努力をしても改善が見られない場合は、鎮痛薬による治療を考えましょう。
片頭痛か緊張型頭痛かによって痛みの強さや時間の長さや種類が違います。たたどちらの頭痛も生活習慣の改善が優先されますので、普段から丁寧な生活を心がけることが大切ですね。
日常生活の改善+ホメオパシー
生活習慣を改善していく際に併せてホメオパシーを使ってみようという方がいたら以下を参考にしてみてください。
まずは頭痛に良いレメディーをいくつか抜粋して紹介いたします。
Nat-m.(ネイチュミュア)
とても良心的で繊細だが、批判されると傷つきやすい。傷つくのが怖くて人とうまく付き合えない。不安、悲嘆などの気持ちを我慢すると病気の原因になりやすい。身体的な症状では生卵の白身のような分泌物。頭痛や偏頭痛ではハンマーで殴られるような痛み。視覚障害を伴うこともある。
悪化 感情的ストレス/他人からの批判/暑さ/騒音/読書
好転 目の上を圧迫する/新鮮な空気
Bell.(ベラドーナ)
とてもエネルギッシュだが、体調が悪くなると神経質になる。激しい怒り。衝動的な感情。身体的症状ではズキズキする激しい痛み。高熱。灼熱感。光に敏感。偏頭痛の場合は後頭部からはじまり、右の額へ広がる。急性の痛みのことが多い。
悪化 騒音/接触/光/動く/月経
好転 頭を抑える/頭を冷やす
Bry.(ブライオニア)
綺麗好きで細かいところまで気が回る人。病気になると片意地を張ったり、気まぐれになる。身体的な特徴はわずかな動きで痛みが生じる。頭痛においては目を動かすだけでも痛い。喉が渇く。
悪化 患部を動かす/動く/振動
好転 熱/休息/強く圧迫する
Mag-p.(マグフォス)
外交的で、休みなく行動しがちな人。感受性豊かで芸術性もあるが、忘れっぽいところもある。神経質で疲労困憊になりやすい。身体的症状では鋭い痙攣性の痛みが多い。こむら返り。頭痛ではうなじから痙攣性の痛みが右目あたりまで。顔が紅潮しやすくズキズキと脈打つように痛い。様々な痛みに使う代表的なレメディーでもある。
悪化 すきま風/寒さ
好転 患部を圧迫する/温める
次に心の不調や生活習慣に合うレメディーの紹介です。
Lyc.(ライコポディウム)
自信がない子供さんや、消化の問題が多いと思われるとき。予期不安が顕著なとき。自信の無さ。失敗することを恐れる。試験や発表会の前に不安になったり、あがり症になったりするが、やってみると上手くいくことが多い。身体症状では消化器系に多く、消化不良、腹部膨満感、ガスがたまりやすい。甘いものを欲する。
Ars.(アーセニカム)
体調が崩れるとより不安に感じたり、几帳面で完璧にしたいがためにストレスを感じてしまうようなお子さんに。生まれつき完璧主義者。強迫観念や恐怖心がある。ストレスや不安からくる体調不良。身体症状では、下痢、嘔吐。分泌物はヒリヒリする。焼けるような熱さがあるが触れると冷たいか、寒気があるのに触れると熱い。
Arg-n.(アージニット)
外交的だが、周りに影響されやすく、情緒が不安定になるようなお子さんに。感情豊かだが、神経質になったりする。頭の回転は速く、作業も勉強も良くできる。しかし、不安を感じると不眠、動悸、ぎこちなさ、発汗、嘔吐、あがり症、予期不安、閉所恐怖症などが顕著になる。身体的な症状は消化器官の過敏性や震え、めまい、しびれのある痙攣、麻痺感。
Lach.(ラカシス)
想像力豊かで、物事の理解も早く、多弁。だからこそ、人生の変化に対応できず悲嘆・悲観になる、嫉妬、失恋で悪化。身体症状では左側。
Kali-p.(ケーライフォス)
頭の使いすぎ、肉体労働からの過労やストレス。疲労困憊。道徳観念の強さからくる悲しいニュースなどで悪化。頭の片側に痛み。不眠症。
症状を伝える時やレメディ選びに役立つこと
- 最初に頭痛が起きた時期とシチュエーション
- 頭痛が起きるタイミング・頻度・時間
- 痛む場所とどのような痛みなのか?
- 頭痛以外に起こる症状(随伴症状)
- 以前と比べて痛みが変化しているのか?
- 常用している薬はあるか?
- 過去と現在の病歴
- 遺伝の可能性(家族に頭痛持ちの人がいるか
頭の側頭部・後頭部・外側・内側・など起こる場所やどんな痛みなのか?どういう時によくなってどういう時に悪化するのか?などを覚えておくとその人にあったレメディが選びやすくなると思います。これはドクターに頭痛の症状を伝える時にも役立ちますね。
まとめ
- 思春期の頭痛「起立調節障害」に伴うものがあり成長期で身長が急激に伸びて「立ちくらやみやめまいが起こる」ことによる「頭痛」かもしれません。
- 片頭痛は高校生の15%、緊張型頭痛は25%以上もいると言われています。
- 頭痛が続く場合は除外診断のためにも脳神経外科などCTやMRIを完備している施設で検査をしてください。
- 思春期の頭痛は睡眠不足が原因のこともありますので、薬物治療ではなくまずは生活改善などの「非薬物治療」を優先してください。
- 非薬物治療の中で自然治癒力を高めるサポート役としてホメオパシーが役立てることがあると思います。