こんにちは、ホメオパス&自然派獣医師の今村です。
こんな時にどうする?シリーズ(勝手に命名してみました)の外耳炎編です。
犬を飼っている方ならば、一度は経験したことがあるのではないでしょうか?いつも耳を傾けていてかわいいと思っていた!?とか、よく頭を床にこすりつけてたわ~とか。初めてのわんこの初めての病気の時には、慌てたことだと思います。
アニコムの保険請求ランキングでも、外耳炎がNo.1で、平均が年間3回ほど通院しているようです。
症状
耳を毎日掃除しているご家庭では、ちょっとした変化も見つけることが出来るけど、ほとんど耳を触ったことがないご家庭もあります。トリマーさんに指摘されて慌てて動物病院に連れて行ったこともあるのでは?耳の掃除のし過ぎも問題になるので、チェックだけはしておきましょう。
そして、動物たちは言葉で伝えられない代わりに、症状の中に行動も伴いますので、おや?と思う行動があったら、よく注意してみましょう。
耳が痒くなる、頭を振る、こすりつける
耳の内側が赤く腫れている
耳や頭部を触られるのを嫌がる、怒る
耳から臭いにおいがする、ぐちゅぐちゅ音がする
耳垢が黄色や茶色や黒い
耳が垂れる、傾く
外耳炎の場所
まず、耳は3つの部位に分けられます。外耳、内耳、中耳です。外耳は耳介(一般的な耳のところ)から鼓膜までの通り道のことです。内耳は音の波動を電気信号に変える蝸牛と、身体の平衡感覚をつかさどる半規管と呼ばれる部位で成り立ちます。中耳は、鼓室と3つの骨と耳管から成り立ち、鼓膜からの振動(音の波動)を増幅しています。
犬では、内耳、中耳と比べて、外耳の炎症がとても起こりやすいです。人ではお子さんが風邪の後に中耳炎になったりします。それは、耳と鼻の距離が短くて水平だとか、耳管が太いとかで感染しやすいからだと言われています。
今回の外耳炎というのは、外耳の皮膚に炎症が起こったものになります。
外耳炎の原因は?
通気性の悪さ
犬の場合は、通気性の悪さが一因となっています。
犬種による特徴的な耳の形(立ち耳やたれ耳)や、中に生えている毛の量によっても左右されます。コッカー・スパニエル、レトリーバー、ダックスフンドなどのたれ耳犬種や、耳の毛の多いテリア、プードルなどがなりやすい犬種になります。フレンチブルドッグやパグもなりやすい犬種です。
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ラブラドール・レトリバー
- キャバリア・キング・チャーリーズ・スパニエル
- フレンチ・ブルドック
- パグ
耳道の構造
犬猫の耳道は人と違って、まっすぐではなく、L字型になっていて通りが悪いと言われています。耳をぶるぶるふったとしても、奥の方の耳垢は出にくくなっています。
感染
細菌、寄生虫、マラセチアの感染によって耳道の皮膚に炎症がおこります。
細菌感染ではブドウ球菌感染が多いですが、時々緑膿菌による炎症増悪もあります。
寄生虫では、主にミミヒゼンダニの感染が多いですが、疥癬やニキビダニ、マダニなどの寄生による痒みもあります。
マラセチア感染は酵母様真菌というカビの仲間の感染によるものになります。皮膚の常在菌の一つですが、アトピー性皮膚炎や皮脂の増加、免疫力の低下により増加することで皮膚炎をおこします。
アレルギー性
アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、接触性皮膚炎など身体の内部の免疫過剰により耳に痒みや炎症を引き起こします。慢性的に痒みを繰り返す場合は、アレルギーに対する治療をしないと治まりません。
時期:多湿
6月ごろからの高温多湿。皮膚炎が悪くなるのもこのような時期です。外耳炎も同じように雨降りが続くと悪くなることがあります。
そのほか
異物が詰まったことによる。散歩中に草の実や、葉っぱ、小枝、綿毛、小石などが耳の中に入り込んだことによって、チクチクやカユカユがおこります。
時折、腫瘍が出来てしまったことによる耳道の閉塞や潰瘍などから炎症が起こることがあります。耳の皮膚も、炎症性のポリープからガンまで皮膚と同じようにできる可能性があります。外科的に摘出した方がいい場合もあります。
他に、ホルモン性によるものもあります。
一般的な治療
一般的な治療にはまず、耳道内の確認をしてから、耳垢の洗浄になります。洗浄によりあふれ出している耳垢を取り除き、原因に対して有効な治療薬の投与が必要になります。
細菌感染では抗生剤や抗炎症剤、マラセチア性であれば抗真菌剤、寄生虫が原因であれば抗寄生虫薬の外用や内服を繰り返すことで治していくことになります。慢性的な治療を進めていた場合、抗菌薬が効きにくい耐性菌問題も現れてしまいます。
腫瘍性であれば、大きさなどにより外科的な対応が必要にもなります。
ホルモン性が原因の場合は、全身的な治療も併用しないといけません。
急性で治る場合も多いのですが、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの場合は、慢性に移行する場合が多いです。
自然療法的なケア
日常のケアでは、まずは家庭でできる洗浄剤として、MT)Calend(カレンデユラ)水を作りましょう。10倍希釈にして、見えるところだけをコットンのようなもので優しくふき取ってあげてください。
ただし、綿棒でぐりぐりと奥の方まで入れてはいけません。自浄作用により奥の方から出てきた耳垢を、再度奥深くに追い込んでしまうことになります。また、綿棒の良しあしにより、先端部分の綿体が抜けて耳の奥に入り込んでしまう事故もみられます。そのような場合は慌てずに、動物病院へ行って抜き取ってもらってください。くれぐれも綿棒は奥に突っ込まないようにしましょう。
耳のケアは、犬や猫にとっても、やってほしくないことの一つだと思います。もともと耳は繊細な部分ですので、くれぐれも無理強いせずに、美味しいご褒美を用意しながら、楽しく行いましょう。そしてちゃちゃっと短時間でしていくうちに、自分からゴロンと横になるようになります。注意することは嫌な気分、痛い思いをさせない、最初から長時間取り掛からないことです。やりすぎると、次にするときにとても苦労することになります。
もし、外耳炎の反応があれば、そのあとで、症状に対応するレメディを選んでいきます。あまりにも痛い思いをしている場合、出血などがみられる場合は動物病院へいって診断をうけましょう。
レメディ
赤く腫れて、痒い痒いとこすりつけている時には、Rhus-t/ラストックスやApis/エイピス、Bell/ベラドンナ。
黄色い分泌物が出ていて、痒みが強いならば、Puls/ポースティラやHep/ヘパソーファ。
ダニによる寄生虫であれば、Sulph/ソーファやCina/シーナ。
イライラで攻撃的になっていれば、Cham/カモミラ
急激に赤く炎症が強くて膿が出ているとき、Merc/マーキュリー
特に慢性的な経過を繰り返して、耳の皮膚が厚ぼったく、ガサガサしているようなときは、耳だけの原因ではない可能性がありますので、アレルギー要因を考えてホメオパスに相談してください。
また、食事を手作りに変えてみる、トッピングに挑戦する、今までのフードから別の物へ変更してみる、などで添加物に対する反応が減れば外耳炎もなりにくくなります。
中医学からのアドバイス
中医学的には、耳は腎の領域です。耳の強化のために腎を強化する食材を取り入れてもいいでしょう。腎の強化には黒いもの、塩辛いもの、海の物(海藻)があいます。感情面では、腎は恐怖の感情が強く影響を及ぼしてしまいます。元々もっている性格が、怖がりさんや物音にびっくりしがちな性格であれば、恐怖の対応をしましょう。フラワーエッセンスのレスキューレメディやミムラス、チェリープラムなどを試すのもいいと思います。ただ、必ず行動療法(トレーニング)も伴ってください。飼い主さんと美味しいものを食べさせながら、繰り返し学ぶことで、恐怖の感情が和らいできます。
そのほか
最近の研究成果から、腸の環境が整い、腸粘膜や粘液層が潤うほど、皮膚のうるおいも増していくことがわかってきました。そうすることで皮膚バリアも強化されるので腸活や育菌に励みましょう。腸活には食物繊維が大切になります。
最後に
レメディだけでケアしたい飼い主さんも、病院との治療を併用したい飼い主さんも、どうしていいかわからない飼い主さんも、一人で悩んでいると疲れてしまいますね。
そのような時は、色々なアドバイスがきけるなんでも相談をご利用ください。